8/30のデイリーイラスト「永遠という時」です。
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◇ ◇ ◇
「永遠という時」
チク タク チク タク
チク タク チク タク
ツーーー・・・クックボーン・・・・・・・
ツーーー・・・クックボーン・・・・・・・
チク タク チク タク
・・・
時計はもうずっと昔から
最初の星が生まれるよりも
ずっとずっと以前から
時を刻んでおりました
遠い星がうまれたときも
遠い月がきえたときも
いつもと変わらぬ、いつものテンポで
時を刻んでおりました
時おり友だちが出来ました
ほんの一時そばにいましたが
すぐに去っていきました
愛しいもののもとへ帰る
みなそういって去っていきました
時計にも恋人がおりました
永遠という恋人でした
時計は恋人にしるしをつけました
同じテンポで、同じちからで
しるしをつけました
恋人の永遠はそれを喜びもしませんでしたが
それを悲しみもしませんでした
恋人にしるしをつけることが
時計はたいへん好きでした
そうして互いに織りあうように
永遠の時が流れていました
毎日毎日同じように
毎日毎日まったく変わらず
誰が生まれても
誰が消えても・・・
ある時、時計はききました
「もしも僕がこわれたら、君はひとりでどうするかい?」
すると恋人は言いました
「もしもあなたがこわれても、わたしはずっとここにいるわ」
また時計はききました
「もしも君が消えてしまったら、僕はひとりでどうすればいい?」
すると恋人は言いました
「もしもわたしが消えてしまっても、あなたはずっとそこにいるわ」
今も時計は時を刻みます
もはやそこに恋人がいるのかいないのか
わからなくなってしまったままで・・・・
チク タク チク タク
チク タク チク タク
・・・・・・
◇ ◇ ◇
ここに出てくる、時おり遊びに来る友達。
わたしもその友達の一人です。
永遠の時間が欲しくなった時、
時計のそばに遊びに行きます。
永遠を刻む時計の横で、これ以上のんびりできないくらい
のんびりさせてもらって
もうこれ以上のんびりするのは嫌だと思うほどに
のんびりしてから
じゃあ、帰るね、と言って帰ってきます。
もといた時間に帰ってきます。
帰る時間は自分で選べますが、
時間を飛ばして戻ってしまうと、消えていた間の騒ぎの収拾がやっかいです。
また、時間をさかのぼって戻ってしまうと、
だれにも見つからないようにずっと隠れていなければならないのがおっくうです。
だからたいていはもといた時間に戻ります。
さっきまで怒っていたのに急に何でもないような顔になったひとがいたら、
きっと永遠という時を楽しんできたのだと思います。
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